エルメス（Hermès）のお財布のベルト・ループ作成、ほつれ縫いが完了しました（愛知県名古屋市M様）
愛知県名古屋市M様より、エルメス（Hermès）のお財布のベルト・ループ作成、ほつれ縫いをご依頼いただきました。
BEFORE
今回はエルメスの長財布の修理をご依頼頂きました。
ご依頼品はエルメスのベアンスフレ。
エルメスのお財布の中では圧倒的な人気を誇るベアンシリーズは最高級の革で作られたシンプルで上品なお財布でございます。
今回は、とても思い入れのあるお財布とのことで修理のご相談を頂きました。
お話を伺いますと、ご依頼者さまのお母様が長年大切にご使用されていた物とのことでどうにか修理をしてもらいたいとのこと。
そこで早速、お財布の状態を拝見させて頂きました。
今回修理をご希望の箇所は二ヶ所、ベルトのスレと二つ折り部分のほつれでございます。
まずベルトに関しましては、革がかなり痛んでおりますので、革でお作り直しとなります。
そして、二つ折り部分のほつれに関しましては、ほつれた部分の縫い直しとなります。
ただ、縫い直しましても完全に破損箇所が直る訳ではございません。
ほつれ部分は革が劣化し所々破れております。
今からステッチを縫い直したからといって強度が確保できるものではございません。
この部分はお財布の中でも一番ダメージを受けやすい部分なのですが、ほつれた場合には是非放置せずにすぐに修理に出していただきたいと思います。
早く対処することで革が傷まずにすむこともございます。
ご依頼者様には、あまりこの修理はおすすめできないということをご説明させていただきました。
が、それでもやってほしいとのことでしたので、今までのステッチの内側に別のステッチをかけるということを条件に修理をさせていただくことになりました。
さらに、外観が悪くなってしまうこと、実例をお見せできない為、補修方法や見た目の仕上がりはこちらにお任せいただくこともご理解いただきました。
さて、今回の作業で、ベルト作成をする際に特に注意した点は革の厚みでございます。
エルメスの金具に通す為、オリジナルのベルトに限りなく近くなるよう革の厚みを調整致しました。
ベルト根元のループも同様に、極限まで薄くし、お財布本体にある切り込みに差し込んで裏側で接着しました。
剥がれないように接着部分を覆うように薄い革を貼り補強しております。
また、問題の二つ折り部分のほつれに関しましては、先程申しましたように二本のステッチをかけました。
一本は飾りのためのステッチ。
強度は期待できないのですが、元の穴をふさぐために裏に革を当ててステッチをかけました。
そして、もう一本は新しいステッチ。
こちらは、お財布の折り曲げる部分に、直線で、内側の小銭入れや収納ポケットに支障が起きない長さでかけました。
ベルト、ループともに茶色の塗料をコバに塗っておりますが、今回は革が薄いので塗料がはみ出さないように丁寧に作業させていただきました。
AFTER
こちらが修理完了後の状態です。
革は色ができるだけ近いものを選びました。
ただ残念ながら、オレンジ色の革はあまり種類がない為、表面の艶感やシボなど革の雰囲気は異なっております。
ベルト自体は問題もなく綺麗に仕上がりました。
ほつれに関しましては、美しい仕上がりとは言えませんが何とかご要望にはお応えできたのではないかなと思っております。
お母様が大切になさっていらしたお財布、今後も末長くご愛用いただけますことを願っております。
この度は当店に修理のご依頼をいただきまして誠にありがとうございました。
