今回のご依頼品は、

皆様よくご存知の、 フランスのLOUIS VUITTON(ルイ ヴィトン)のショルダーバッグでございます。

ホームページからのお問い合わせをいただきました。

ご依頼主様から、

直るのであれば娘が使いたいと言っています。

バッグの底面に雨のシミがあります。

というご相談内容をいただきました。

ご依頼品を拝見させていただきましたところ、

蓋のヌメ革ベルト部分は、変色して、千切れてしまっていました。

ヌメ革ショルダーベルトも、同じように変色して、

かなり弱っている状態でございました。

底面の雨のシミでございますが、

こちらは、破損してしまった状態ではございませんので、

修理となりますと、かなり大掛かりな修理になるため、

費用的にも負担が大きくなることを詳しくご説明させていただきまして、

今回は、底面部分のご提案は、控えさせていただきました。

蓋のベルトと、ショルダーベルトに関しましては、

部分的な修繕のみでは改善が難しいものでございましたので、

今回は、新しい蓋のベルトと、ショルダーベルトを作成し、お取り付けいたします。

ショルダーバッグの場合、

ご使用の度に、どうしてもショルダーベルト部分には負荷がかかってしまうものでございます。

また、バッグの蓋のベルトにつきましても、

ご使用の度に、開け閉めの動作が必要で、

直接触れる部分でございます。 ヌメ革部分は、ご使用の頻度やその状況等にもよりますが、

ご使用されている間に、少しずつ変色していきますし、

水に濡れた場合は、シミ跡が残るものでございます。

これもヌメ革の特徴の一つで、

使い込むほど味が出てくるものとおっしゃる方もいらっしゃいます。

お使いになっているうちに、少しずつ皮革が割れてしまっていったりして、

どうしても劣化が進んでいきますので、

今回のようなご相談は、比較的多い修理内容でございます。

新しくお作りするベルトに使用いたします素材でございますが、

現状のものに、できるだけ近い色目の牛革を吟味してお選びいたします。

(今回の場合、皮革の色は、現状よりも少し明るいものとなりました。)

同じ厚みの皮革が当店にご用意がございませんので、

2枚の皮革を張り合わせまして、

両端にステッチを入れました丈夫な仕様でお作りいたします。

2枚合わせの革は、

オリジナルの1枚革に比べて厚みが増してしまわないように気をつける必要がございます。

同じ厚みに仕上げるために、

微妙な加工調整を繰り返し、ショルダーベルトの作成に入ります。

ショルダーベルトの根元を固定するためのギボシと呼ばれる金具と、

ショルダーベルトの美錠は、再利用致しますので新しく作成したショルダーベルトに取り付けます。

新しく作成しました蓋ベルトをしっかりと固定いたします。

蓋ベルトの固定は、表側からステッチをかけますので、

微妙な厚みの段差や、革にあります皺や癖により

裏側のステッチが元の縫い穴から多少ずれる場合もございますが、

強度的に問題はございませんので安心してお使いいただけます。

また、裏側にステッチが露出しないよう蓋ベルトを取り付ける際には、

バッグ本体のステッチを必要最低限の範囲で分解致します。（糸を解きます。）